武器&武器外伝
槍
宙を舞う様子やしなやかな身体の動き、ピンと伸びた足先と手足全てが僕を魅力した。
両手に握った自身よりも大きいものをいとも簡単に操り、蝶が花から花へと飛び移る様が視界に入り込んでくるようだった。
しかも、小さな身体つきからは想像できないような強さと可憐さをみせ、存在感を与えるような動きが僕を捕らえて離さなかった。
僕のように、身体だけを使ってみせるやり方ではなく、身体全体と周りのものを自分のモノとして巻き込んでいき、それを存在として表している。
観客全員に息を飲み込む暇も与えない、そんな雰囲気を醸し出しているのだ。
そしてその姿に1度視線をやると、そこから離すことさえも忘れてしまう。
時間の環を永遠に止められてしまったかのように、瞬間的に周りの人間たちが生物時間を失っていくようで仕方なかった。
そこに含まれている僕も、勿論例外ではない。
何かを取られてしまうかのように、目の前で先の尖ったモノを可憐に扱いながら舞う姿だけに意識が集中してしまうのだ。
僕や僕の周りの止まっていた時間が動きだしたような気がして、はっと意識をしっかり持ち直すと、演技の時間を終了した彼女がふぅと息を吐き出して、丁寧にお辞儀をした。
その瞬間、僕の身体は止めていたもの全てを吐き出すように溢れ出した。
それがしばらく止むことはなく、気がついた時にはもう、彼女の姿はどこにも見る事ができなかったのだ。
2008.09.02. up.