禁止・命令

泣かないで

目の前で小さな男の子が泣いていた。

もちろん、その様子を見てみぬ振りなんて出来るはずもなく、僕はその小さな男の子に声を掛ける。



なんとも偽善者ぶった感じがいただけないが、見てみぬ振りをする大人よりは幾分もマシだと思う。



男の子の顔を見ると、何かが頭を過ぎった。

僕は、この子を見たことがある?



そんな事を考えていると、男の子は笑って僕に、「泣かないで」と言った。




僕が、泣いている?

いや、違う。そんな筈はない。



でも、僕は泣いていた?



あぁ、なんだか訳がわからない。





その間も男の子は僕の顔をじっと見つめている。




あぁ、そうか、これは──……。

2008.07.20. up.