禁止・命令
声出せ
目が霞んで、辺りがどうなっているのかなんて分からない。
身体を動かそうとしても、全身に錘がのしかかっているようにびくともしない。
ただ、ふたりの男の声が耳に入ってくる。
何が起こっているのかと問いかけても僕の頭は回らない。
声がしたかと思うと、今度は鈍い金属音が頭の中を駆けめぐった。
あぁ、もしかして僕はとても危険な場所にいるのか?
だってほら、足音がこっちに近づいてくる。
もしかして、いや、もしかしなくてもこれは、やばい状態だよね、僕。
ほら、声を出さなければ。
早く、誰かに知らせなければ。
声よでろ。声出せ、僕。
だめだ、身体だけじゃない、声まで固まって出てきやしない。
ゴンという、先ほど聞いた鈍い音と共に、僕の意識は宙に散らばった。
2008.07.21. up.