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満月と霧には詐欺師
下から見上げると街は暗い。
でも、建物の上から見下ろすと、下から見上げるものとは別人のように、世界は光で埋め尽くされて輝く。
その光を乗せて、風が僕のところまで走ってきて、僕を追い越していく。
口元から上がる煙も共に巻き込んで、前へとすり抜けていく。
コツン、と物音が立ち、僕の身体は意思とは反して後ろを向いて、止まる。
風が強くなって、僕は目を細めながら影になって立っている人影を見る。
よく目を凝らしてみると、人物像がはっきりと視界に入ってきて、僕の口元から棒切れが落ちた。
「そこから、何が見える?」
その人影は、ニタリと笑ってそれだけ言うと、消えていった。
呼吸が荒くなり、背中には冷や汗が伝い、月が揺らぐ。
あぁ、また何かがハジマリを向かえてしまうのだろうか。
僕の掌には、知らず知らずのうちに汗が浮いていた。
2008.06.24. up.