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棄てられた十字架
僕と対になって立っている君。
真剣にソレを見つめる僕とは裏腹に、目の前の君は気持ち悪い笑顔を浮かべて僕と目を合わせる。
それがとても気分を悪くさせて、僕は目を逸らそうと下を向く。
けれども、そこにもニタリと笑う君が居て、僕は声にならない声を出して目を瞑る。
いくらそれから目を逸らしても、暗い世界にはやはりその気持ち悪いくらい鋭い視線で僕を見つめる君が居て、逃げ場を失う。
どうして僕の視界に入り込んでくるのかと思考をめぐらせても、その原因は分からない。
ただ、ずっと一緒に僕と歩き続けている。
一歩踏み出すタイミングも、その場に立ち止まるタイミングも、全て同じ風に動きは重なって、僕から取り外すことが出来ない。
これが、残された僕に課せられた、消すことの出来ない罪の証なのだろうか。
合わせ鏡のように僕の視界に現れる君とは、それさえも確認する事が出来ず、僕はぎゅっと手を握り締めた。
その僕の手に重ねられる君の掌が、どことなく不気味に感じ、握っていた手をさっと開いて取り払った。
繋ぐことを拒んだ罪の重さは、これほどかと言う程僕に思うのしかかり、それは途切れることがない。
置き去りにしてしまった罪の証は、今更もう、取り戻すことはできなかった。
2008.06.25. up.