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廻らないメリーゴーランド

カタン、コトン、と今にも壊れそうな音を立てるオルゴール。
それを大切にしていた君。


そんな君は、もうここにはいない。



耳が割れそうなくらいの大きな音で、僕は現実へと引き戻される。
僕の手に強く握り締められたオルゴールが、開いたまま音を立てずに僕を見つめている。


油を注してネジを回しても、それはピクリとも動きはしない。


何をしても、もう動かない。


時間はあの時で止まったまま、先へ進もうとはしない。



僕の中では後ろへと動いている君への記憶と、廻ることを忘れてしまった君の記憶。



僕は、手の中に納まっているオルゴールの一部を取り外して、ポケットの中に押し込んだ。
部品の一部をなくしてしまったオルゴールは、泣いているようだった。

2008.06.24. up.