漢字一文字10のお題

淡い模様を纏った絹を上から下へと踊るように、ゆらゆらと揺れ動いて目の前に姿を現した。
言葉を紡ぎだせないまま、僕はそれに吸い込まれるように手を伸ばし、そっと触れてみる。
優しく、丁寧に扱わなければ直ぐにでも壊れてしまいそうなくらいに、それは儚い。

絹と指が絡み合うように一体化すると、そこからじんわりと温いモノが伝わってくる。
それは、まるで息をしているかのようで、僕の左奥を締め付けるように熱を帯びた。

それを体から感じると、なぜか、透明な滴が僕の頬を伝っていった。
僕はそれに気付かない振りをしながら、熱と言う温かさがこんなにも憎いものだということを初めて感じた。

2008.09.08. up.