漢字一文字10のお題
暖
暗い空間から目をこじ開けてみると、ふんわりとした暖かいモノが唐突に突き刺さった。
人間の持つ本能がその暖かさから目を逸らそうとさせ、瞬時にまた暗い空間へと入り込んだ。
しかし今度はただ暗いだけではない。
外から侵食してこようとする暖かさがじんわりと私の目外を触れていく。
表面を伝って全てを覆いこんでいくような感触がはっきりと理解できたのは、暖かさが募っていったからだ。
暗い空間へと再び入り込んでしまった私を外へと押し出すような感じだ。
その行動に不信感や嫌悪感を抱くことは全くなかった。
外から伝わる暖かさに導かれるように、閉じた目を少しずつ開いていく。
今度は突き刺さってくるような感覚はなく、何かを諭すよう優しく中へと入り込んできた。
その所為か、先ほど現れた本能的なモノが動き出すことはなく、ただ素直にそれを受け入れていた。
それをしばらく目の中に入れ続けていると、私の中で安全だと判断した何かが体を巡って目の先に辿り着いていく。
たどり着いた言葉を察知した目は、しだいに膜を作ってゆっくりと暖かいモノを遮断した。
今度は攻め入れてくるものは何もなく、外側を覆った暖かいものを纏いながら、ゆっくりと暗闇の中に沈んでいく。
中身が全て暗い空間に落ち、纏う暖かいモノが消えてしまう前に、またそれは私を包み込んでくれるのだろうか。
2008.09.15. up.