漢字一文字10のお題
傷
ひたりと赤黒い液体が染み渡っていくように、果てをみせることなく埋め尽くしていく。
動きが早く見えたと思えば、ゆっくりとした動きをしているようにも見える。
滴らせた器の動きになぞられながら、四方八方に傾きをみせて。
じんわりと、確実に真っ白い形をしたものを彩色していくのだ。
それにつられて収縮と拡大を繰り返し、抱えられないものはどこかへ知らぬ地へと流れさせ、そうではないものは自分のものへと埋め込んでいく。
まるで感情を持ち生きているように見える液体は、時に暗い面影をちらつかせ、時に朗らかな面影を表していく。
抱えられた形たちは、同じように動きを見せながらも全く異なった模様を繕い、工程として薄い層を積み上げていく。
視線を突き刺す方向から色々な表情を表すそれらは、美しくもあり、それでいてとても儚く消えやすいものにも見えて仕方がなかった。
2008.09.10. up.