息継ぎの仕方
隣で同じリズムを刻みながら息を吐き出したり、吸い込んだりしていく君。
行っている事は僕や他の生き物達と同じ筈なのに、君が行うことによって、それがまったく別のモノと化しているようで、僕の身体を引き寄せる。
僕の右肩が、腕が、手首が、指先が、意思を持たずに少しずつ動き出し、君を覆っているであろう領域に踏み込んでいく。
すると、何かを拒むかのようにパチンと音がなり、鼓膜を静かに通り抜け、脳の真ん中に突き刺さった。
明らかにそんな音がなる筈がないのは解っているのに、僕にはしっかりと、自分以外の全て拒む音が聞こえたのだ。
「拒まれている」事実は解っているのに、僕の身体はそれでも引き下がることはなく、寧ろそれを理解した上でその空間に入り込もうとしているようだった。
それは目に見えて取れるのだが、僕自身もその事実をとうの昔から知っているのか、わざわざ止めてしまおうとは思わなかった。
それとは逆に、その空間に拒まれていたとしても、入り込んでしまいたいと思ってしまっている。
けれどもその度に空気はパチンと音を立てて、僕の存在を中に入れまいと追い返す。
しかし、僕の身体も行為を止めようとはしないので、ただ永遠に同じことが繰り返されていく。
パチンと音が鳴っては身体の筋肉全てが収縮したように止まり、また永遠に届かないであろう身体を伸ばす。
ただ、それの繰り返し。
誰かに止めろとも続けろと言われることもなく、時が同じ瞬間を繰り返しているように続いていく。
なぜ、君の周りを覆う空間は僕の存在を否定するのだろうか。
そして、なぜ、僕の身体はできもしないのに、拒み続ける君の空間に踏み込もうとするのだろうか。
ただ、無意味な行為が環を作るように繰り返さされるだけなのに。