海に見る10のお題

一つに溶けよう

地面一面に広がる真っ白な雪を両手で掬い上げ包み込んだ。
小さな丸い形になった雪に、どんどん新しい雪を付け足していく。
ほどよい大きさになると、それを雪の上に乗せて、先程と同じように掬い上げる。
それを両手で固めて、雪の上に置いておいたものよりも少し大きめのものを作る。
小さい方を大きい方の上にのせて、家から持ち出してきた木の枝や石を整えるように埋め込んでいく。
そうすると目的のものは完成する。


完成したものを雪の上に置いて、その場から少し離れてみる。遠目に見てみると、少しバランスが悪いように思え、近付いて形を変えてみる。
そうしてからまたその場を離れて見てみると、今度は自分の納得いく形だと頷いてから駆け寄った。
飾りをつけるために持ってきた枝たちを入れていた容器を自分の元に手繰り寄せて、作り上げたものを壊さないようにと、細心の注意を払いながら移動させた。
しばらくそれを眺めていると、容器に水滴が溜まってきていることに気付き、慌てて容器を持ち上げる。
しかし、その時も壊れないよう慎重に。

持ち上げた容器を大切に抱え込むようにして走り出す。
走っている間も、容器の中身を気にかけながら慎重に。


容器の中身は次第に水分を増して重くなっていく。
さぁ急げ、さぁ走れ。

容器の中で水と変わりゆくモノが全て消えてしまわぬ内に、あの人が佇む元へ。

2008.07.30. up.