10の場所お題

体に当たる太陽が眩しい。鼻を掠める潮風も、楽しそうに走り回っている姿も、全てが体にしみる。
あそこで犬と戯れている女の人は綺麗だなとか、パラソルの下で笑いあっているカップルは楽しそうだなとか、砂浜で遊んでいる子供たちは可愛いなとか、そんなことばかり考えていると頬からひんやりとした感覚が伝わってきた。
なんだと思って当てられた方を見ると、冷やされた缶をふたつ手に持った悪友が大口を開けて笑っている。

ただでさえ暑苦しいのに、そいつの顔を視界にいれるともっと気分が悪くなっていく。
それが表情にでていたのか、ヤツの足の裏で思いっきり蹴り飛ばされてしまった。
なんなんだと思って視線を送ると、相変わらずムカつくような表情で俺を見ている。

ため息を漏らしてうなだれると、横から声がして、手に先程の缶を握らされた。
隣をみると、ヤツは気にした様子もなく缶の中身を体の中に流していく。
それを見て俺も同じように中身を体の中に流し込んでいく。
ほてった体にひんやりとしたものが染み込んでいくようで気持ちがいい。

缶から口を離すと、風が吹いて潮を運んでくる。
今度はなぜか、それが嫌だとは思わなかった。
反対に心地いいとまで感じてしまった。

それがなんだか悔しくて、ヤツの横腹を仕返しとばかりに小突き返した。
ヤツはそれをみてニヤニヤとした笑いを浮かべるとそのまま寝そべってしまった。
それもなんだか悔しく感じて仕方がない。

しかしヤツの持ってきた缶によって状況がかわったことには違いなかった。
俺は全てを拭い去るように、ヤツに背を向けて同じように寝そべった。

2008.08.04. up.