変幻自在10days
逢いたくなったら飛んでゆく
統一された色で彩られている部屋を見渡したあと、オレンジ色で象られた花瓶が視界に入り込んできた。
それが置かれている台に歩み寄って、触れるか触れまいかと言うところで手を一度、上下に動かした。
手の平の部分に、独特の感触が伝わったあと、ひんやりとした感覚が残った。
花瓶に添えられている方に目をやると、ふんわりとしたピンク色の花弁から、特別な香が漂ってくるような気がして、頬を緩めた。
それがとても愛らしく感じて、添えられた花の一輪に触れた。
まだ咲ききってない様子が、他のどれよりも特別際だって視界に入り込んでくる。
それがなんだか綺麗だと感じて、花弁を壊さないようにとそっと触れた。
なんとも言い表せない感情が、どっと溢れていくような、そんなモノが身体の中で生まれた。
私が一度笑みを浮かべてから、花を元の場所に戻すと、部屋のチャイムが一度響いた。
玄関の方へ駆けると、男性がスーツに身を包んで、見覚えのある花を手に携え優しく微笑んだ。
それを見て、私も同じように微笑み返すと、両手に少し圧力がかかり男性が携えていた花たちが私を包んだ。
それがとても嬉しくて、花を抱えながら男性の胸に駆けると、彼は優しく私を包んでからまた微笑んだ。
柔らかいピンク色の花弁が、ひらりと空に舞った。
2008.08.28. up.