routineお題-仕事編
真っ暗な部屋
誰かの泣いてる声が聞こえる。
僕は真っ暗の視界の中、耳に入ってくる声がどこからするのか、右を向いたり左を向いたりしてみる。
でもどちらが右でどちらが左かもわからない状態で、自分がどこにいるのかも分からない。
真っ暗で見えないのなら、言葉でそれを追いかけようと口元に意識を集中させる。
しかし、口から言葉は紡ぎ出されない。
何かが僕の体を操作している。
視界は閉ざされ、言葉にならない声。
僕に残されたのは、どこかで啜り泣く声を捕らえることができる聴覚だけ。
体だって自由には動かない。
何も見えない、聞こえないと言うことが、体を支配しているのだろうか。
ただ、啜り泣く声を頭で変換しながらその場に佇んでいた。
それは恐ろしいとか怖いと感じるものでなく、どこか気持ちを和らげるものに変わって体に染み付いていく。
この感覚は一体なんなのだろう。
そう考えを巡らす内に、声はぴたりと止んでしまった。
それと同時に視界が少しぼやけて、言葉にならなかった声が僕の元へと戻ってくる。
すべてを繋ぎ合わせる暇もなく、僕の意識はぱたりと途切れて、どこか違う世界へと消えていった。
2008.06.16. up.